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ヤギあれこれ ヤギコレクション
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 『三丁目の夕日』という映画がヒットしたらしい。映画に描かれているのは、高度経済成長に沸く東京下町の、昭和30年代の暮らしだ。その映画の中にこんなシーンがある。

 ― 当時の三種の神器のひとつである電気冷蔵庫が主人公の家にもやってきて、それまで使われていた氷冷式の銅製の冷蔵庫がお役御免となった。軒下に捨て置かれた冷蔵庫を見ながら、「ここもかぁ」(←かってな解釈)という表情をした氷屋が、主人公の家の前を黙って通り過ぎて行く・・・ ―

 私が子どもの頃、この映画に出てきた銅製の冷蔵庫とそっくりの、業務用の大きな冷蔵庫が我が家にあった。冷蔵庫の下段には四角い大きな氷の塊が入っていて、氷は、氷屋さんが、家の前まで売りに来ていた。我が家はかなり田舎にあったので、氷屋は、後に自動車で来ていたと思うけど、映画で見た「氷~」という張り声を妙に懐かしく感じるので、自動車になる前はリヤカーで売りに来ていたように思う。大きな直方体の氷を荷台から引き出すと、目の前で求めるサイズに鋸を挽いて裁断してくれた。氷を裁断するときのシャリッ、シャリッという、なんともいえない音が好きだった。
 さて、その銅製の冷蔵庫の上段に、毎朝ぽつんと、1本のカルピスのビンが入っていた。当時、カルピスは、世間では洗練されたオシャレな飲み物というポジションにあった。ところが、我が家の冷蔵庫に鎮座するカルピスは、新聞紙か広告の紙でいい加減に蓋がしてあって、TVコマーシャルで見る、さわやかな"ハレ"の感じはどこにもなく、ビンを繰り返し使用していることがひと目でわかるような生活感漂うカルピスだった。母は、毎朝、このビンを手に取ると、「ほら、カルピスだよ」と言って私に飲ませた。私はというと、あのカルピスが毎日飲めるのだからと、せっせと無理をしても飲んだものだ。けれど、毎朝飲むカルピスは、私の期待する、ハイカラな、近代の味がしなかった。TVで見るカルピスから想像する味とはどうしても思えないような、独特の臭いと味がした。そのギャップに、なんだかおかしいなぁと思っていたものだが、それもそのはず、私が飲んでいたのは、カルピスではなく、「カルピス」と母が命名したヤギ乳だったのだ。
2goat_2l.gif 随分後に知ったことだが、当時、私は小児喘息だったから、母は私の身体のために、近所の家からヤギ乳をわざわざ購入して飲ませていたらしい。そのカルピスという名のヤギ乳は、牛乳の宅配の登場と入れ替わりに、我が家から姿を消した。ちょうど、氷冷式の銅製冷蔵庫が業務用の大型電気冷蔵庫に入れ替わったように。
 これが、私の、♪~カルピスはママの味~♪~の思い出である。
 大人になって、知人の農家で飼われているシロちゃんが出すヤギ乳を飲んだ。あの独特の青臭さはあるものの、そう強くもなく、実に飲みやすいヤギ乳だった。一言でいうと、「おいしかった」のだ。餌や環境が家畜の身体にどれほど影響するのか、子どもの頃に飲んだヤギ乳とシロちゃんの乳が教えてくれたように思う。ヤギ乳に感謝。
[もろきょう]
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よこ目くらぶ

「山羊を飼いたいと思っている」
きっかけはそのかたやんの一言。皆がひざを乗り出し、ひとしきりヤギ話で盛り上がり、いつしかヤギは農人研(のうひとけん)センターのアイドルに。そして、ヤギのよこ目はシンボルに。

ヤギのこと、あれこれ集めていきたいと思います。
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